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「椿姫」(デュマ・フィス著)は、仏文学の王道「高級娼婦モノ」とでもいうべきジャンルの代表格で、数多くの舞台の原作にもなった。実はけっこう最近読みました。はい。
このお話は、
お洒落で社交家、パリでセレブ生活を送るマルグリット。生まれは貧しいが、その美貌を武器に、二十歳にして年収10万フランを稼ぐ。病気で長生きできないと悟り、せいぜい楽しもうと夜遊びに精出していたところ、アルマンという若者が接近してきた! 彼は良家の子息で、長身でブロンド、情緒豊かで献身的、真実の愛を捧げてくれる稀有な男。ただし年収わずか7千フラン・・・
マルグリットには当初1~2名の大富豪のパトロンがいるんだけど、金のためなら誰とでも寝るわけではない。相っ当、男を選り好みしています。ストリートで働く娼婦のイメージとはかなり違うので、「この程度で身分違いとかなんとか大騒ぎして」とやや拍子抜け。なにもスラムでノミだらけの女の子を拾ってきたわけじゃなし、病気といっても性病ではなく、肺病と文学的。なかなかの知性の持ち主でもあります。
自分の望む生活水準にはっきりしたヴィジョンを持っているマルグリットは、「年に7~8千フランの金を浪費する」と明言。最初のうちアルマンに「あなたが私を養うことは不可能」「よって私を独占する権利はない」とたびたび釘を刺している。
そんなキャラクターたちの率直さが魅力だったりします。でも現実に直面するたびことごとく浪費や遊びでごまかそうとする軽薄さも持ち合わせていて、あまり好きにはなれない。せっかくダークロマンスを実践するすべての要素がそろっているのに、どうしてイギリス貴族みたいに人里離れた古い屋敷に引っ込んで静寂に浸り、欠けてゆく月を眺めながら詩でも書いていられないのかしら、この人たち?
マルグリットいわく、「貴族なら療養生活もいいけど、あたしが療養なんかしていたらみんなに忘れられてしまう」。私は、同じパリ人でも「孤独の楽しみがわからない連中を嘆かわしいとは言わないが、ただ軽蔑する」と語ったボードレールの気持ちの方がよくわかるのですが。でも舞台でマルグリットを演じた女優をはじめ芸能人たちは、彼女の言葉に大いに共感したのかも。
そんなことをしているうち、どんどん深みにはまりこんでゆく人々。そしてついに、最後の時が・・・。
もうひとつ仏産の高級娼婦モノで、ただもっと新しい時代に女性作家が書いた「シェリ」というのがあります。(コレット著。 岩波文庫 工藤庸子訳)
私が考える高級娼婦といったらまず「シェリ」なんです。なぜなら人物の人間性が、「シェリ」のレアやマダム・プルーの方がはるかに馴染みやすいから。それにくらべたら「椿姫」の登場人物たちはもっと遠い、エイリアンのような存在です。
私が考える高級娼婦といったらまず「シェリ」なんです。なぜなら人物の人間性が、「シェリ」のレアやマダム・プルーの方がはるかに馴染みやすいから。それにくらべたら「椿姫」の登場人物たちはもっと遠い、エイリアンのような存在です。
主人公レアは50歳、引退した元高級娼婦。パリの一軒家でメイドやコックを雇い、24歳の彼氏は超美形。引退したのにどうしてそんな優雅な生活ができるのかは謎。しかもそれだけの資産を貯めるには大富豪の爺様でもつかまえなくてはなるまいに、不思議なことに、若い男としか寝たことがないなどと豪語してます。現役時代に稼いだ金を元手に「石油株で儲けた」というような話がちらりと出てくるけど、これが収入源なのか??
ともかく人間性はリアルだけど金銭面は曖昧な「シェリ」と反対に、「椿姫」の人々はのっけからしまいまで金策に奔走している。恋の話であると同時に金の話であるといってもいいほど、終始シビアな金銭問題、因習、階級格差の問題がつきまとっています。
ただ物事には様々な面があるという意味で、「椿姫」をこんなに何度も上演するなら「シェリ」ももっと上演されなきゃフェアじゃない!と思ったりします。気の毒な「椿姫」に涙するのもアリなら、「シェリ」のレアみたいな勝ち組(?)を見て「なにそれ~」とうらやましがるのもアリでしょ。いずれにせよ私には縁遠い世界なのですが・・・。PR
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アリョーシカ
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趣味:
読書、猫
自己紹介:
果砂璃亜(かさりあ)国という架空の国をテーマにしたお洋服を制作しています。
めざすのはカラフルなゴシック。
好きな監督
ティム・バートン
ジョン・ウォーターズ
好きな音楽
EVANESCENCE
RIHANNA
LADY GAGA
好きな本
SF ホラー
19世紀英国小説とロシア文学
生物学
大学で美術史と油絵を学び
しばらく社会人
それからまた服飾の学校
上の写真は専門学校の時の卒業制作です
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上の写真は専門学校の時の卒業制作です
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